I. 兵庫県立高校入試の構造と合否の決定要因
兵庫県の入試(一般選抜)は、学力検査(500点満点を0.5倍=250点)と調査書(内申点250点満点)の合計500点満点で判定されます。
1. 判定を左右する「内申点」の圧倒的重み
兵庫県の内申点は、中3の成績(1学期・2学期の総合)がそのまま反映されますが、計算方法が特殊です。
- 主要5教科: 各5点 × 4倍 = 100点
- 実技4教科: 各5点 × 7.5倍 = 150点
- 合計: 250点
実技4教科(音・美・保体・技家)の1ポイントが主要教科の約2倍の価値を持つため、「実技教科で『5』を揃えること」が最難関校合格の絶対条件となります。
2. 複数志願選抜と「第2希望加算点」
兵庫県(一部を除く)では、同じ学区内で第2希望まで志願できます。
- 加算点: 第1希望の高校には、学区によりますが一般的に「20点〜30点」の加算点がつきます。
- 合否の仕組み: 第1希望の合否判定で不合格になった場合、加算点のない状態で第2希望の判定に回ります。このため、第2志望校選びに失敗すると「併願私立」への進学が現実味を帯びる、極めてシビアな選択を迫られます。
II. 科目別・最難関突破のための攻略戦略
1. 【数学】「誘導の読み取り」と「記述の正確性」
兵庫県の数学は、他県に比べて「大問1(小問集合)」の配点が高く、ここでのミスは即座に致命傷となります。
- 傾向: 図形の証明、関数のグラフ利用、新傾向の「会話文形式」の問題。
- 対策: * 大問1・2の完璧: 配点の約半分を占める基礎・標準問題を確実に仕留める。
- 論理記述対策: 愛知のようなマーク式ではなく、兵庫は「記述式」です。証明問題で減点を食らわない正確な論法を身につける必要があります。
- 2026年予測: 思考力を問う問題が増加しており、単なる計算力ではなく「問題文の条件を数式に翻訳する力」が求められます。
2. 【英語】「リスニング」と「長文の精読」
英語は配点の約2割を占めるリスニングの難化が続いています。
- 傾向: 約10分間に及ぶリスニング、図表を含む読解問題、自由英作文。
- 対策: * リスニング重視: 音声を聴きながらメモを取る訓練を日常化する。
- 長文読解: 接続詞や指示語に注目し、文章の論理構成を把握する。
- 自由英作文: 自分の意見を30語〜40語程度の正しい英文で書く「型」を習得する。
3. 【国・理・社】「記述量」への対応力
- 理科・社会: 兵庫県は「完答(2つの空欄が両方正解で点数)」が多く、曖昧な記憶では太刀打ちできません。また、理科の計算問題は非常にハイレベルです。
- 国語: 古文・漢文の基礎知識に加え、200字程度の作文や記述問題が頻出します。
III. 2026年合格への時期別ロードマップ
| 時期 | 数学・英語の戦略 | 国・理・社の戦略 | 目標 |
| 中3夏まで | 基礎を完璧にし、苦手単元を潰す。英検準2級レベルの読解力。 | 1・2年の復習。特に理科の計算、社会の記述。 | 実技4教科で「5」を狙うための定期テスト対策。 |
| 9月〜11月 | 兵庫県模試での順位を意識。難関私立の過去問で応用力強化。 | 全国公開模試等の記述問題で「正答の根拠」を書く練習。 | 内申点の確定。 御三家志望なら235〜250点を死守。 |
| 12月〜1月 | 兵庫県立過去問(5年分以上)を解き、時間配分を体得する。 | 苦手な「完答問題」の徹底分析と、時事問題対策。 | 学力検査で430点(0.5倍で215点)以上を安定させる。 |
| 2月直前 | ケアレスミス防止のルーチン化。英作文・証明の添削仕上げ。 | 頻出の図表・グラフ問題を総ざらいし、視覚情報の言語化に慣れる。 | 第2志望校への加算点を含めたシミュレーション。 |
IV. 2026年度入試・定員増減と倍率の予測
兵庫県では現在、大規模な「県立高校再編計画」が進行しています。
- 学校統合の加速:2025年度から2026年度にかけて、各地で高校の統合・再編が行われています。これにより、旧来の「第2希望で選ばれていた学校」が消滅したり、新しい学科が新設されたりすることで、倍率の読みが非常に難しくなっています。
- 神戸市内(第1学区)の二極化:神戸・長田・兵庫への一極集中が加速する一方、中堅校では定員割れに近い状態も発生。トップ校受検生は「落ちたら私立」という覚悟を持つ層が増えています。
- 推薦入試(2月)の活用:最難関校の多くが設置している「単位制」や「専門学科」の推薦入試は、実質的な「チャンス増」ですが、倍率が3〜4倍になることも珍しくありません。一般入試を見据えた「通過点」としての取り組みが求められます。
V. 合格へのエール
兵庫県の入試は、当日の頑張りと同じくらい、「3年生の教室での日々の積み重ね(内申点)」が評価される仕組みです。これは、あなたが3年間どれだけ真摯に学問や学校生活に向き合ってきたかを問うているのです。
神戸高校や長田高校といった名門校が求めるのは、高度な知性だけでなく、「副教科も含めて手を抜かない誠実さ」と「加算点のない第2志望というリスクを管理する冷静な判断力」です。実技教科の1点の重みを知るあなたなら、きっと最後まで緻密な戦略を持って戦い抜けるはずです。
その粘り強さこそが、ポートタワーを望む学び舎への門を開く鍵となります。

