東京都千代田区に鎮座し、皇居や北の丸公園を臨む絶好の環境にある千代田区立九段中等教育学校。かつての都立九段高校の伝統を引き継ぎ、現在は「自律・公器・至誠」を掲げる中高一貫の「中等教育学校」として、都立中高一貫校とは一線を画す独自の存在感を放っています。
2026年度入試に向けて、区立九段の特異な選抜システムと、合格を引き寄せるための適性検査対策を徹底的に解説します。
I. 九段中等教育学校の「特殊性」を知る
対策を始める前に、九段が他の都立校(小石川や武蔵など)と決定的に異なる点、すなわち「受検のルール」を理解する必要があります。
1. 区分A(区民)と区分B(都民)の巨大な壁
九段の入試は、出願資格によって2つの枠に分かれます。
- 区分A(千代田区在住者): 定員の半分。倍率は例年2〜3倍程度と、公立中高一貫校としては非常に「狙い目」です。
- 区分B(都内他市区町村在住者): 定員の残り半分。倍率は例年5〜7倍に達し、都内屈指の激戦区となります。
戦略のヒント: 区分Bで合格するには、都立最難関の小石川や両国を第一志望とする層と競り合い、勝つための学力が求められます。
2. 「中等教育学校」であることの利点
九段は「中学校」と「高校」が完全に融合した6年一貫校です。4年生(高1)進級時の外部募集がないため、6年間をかけて「九段自立プラン(探究学習)」や高度な英語教育に没頭できる環境があります。
II. 2026年度 適性検査の傾向と分析
九段の適性検査は、思考の深さと、それを言葉にする「記述力」がすべての科目で試されます。
1. 【適性検査I】国語的読解・文章表現(45分/100点)
- 傾向: 二つの長文を読み比べ、内容を整理する記述問題と、400字程度の作文が課されます。
- 2026年対策: 九段の作文は「自分の考え」だけでなく、「本文の趣旨を正確に踏まえているか」が厳格に採点されます。
- キーワード: 「客観的読解」と「主観的表現」の融合。
2. 【適性検査II】資料分析・社会・理科の運用(45分/100点)
- 傾向: 地理、歴史、公民の融合問題に、理科の実験考察が加わります。特に「千代田区」や「東京」を題材にした身近なテーマが出ることもあります。
- 2026年対策: 表やグラフから読み取れる事実を、単に書き写すのではなく「なぜそうなったのか」という背景(歴史的・社会的理由)を知識と結びつけて説明する訓練が必要です。
3. 【適性検査III】数理的思考・算数(45分/100点)
- 傾向: 九段合格の鍵を握る最難関パート。都立共通問題よりもひねりが効いた「独自問題」が含まれます。特に「図形の性質」「規則性の発見」「論理パズル」が頻出です。
- 2026年対策: 公式を覚えるのではなく、「n番目のときはどうなるか」という一般化のプロセスを記述する力を養ってください。
III. 2026年合格へのステップアップ・プログラム
1. 【算数分野】「試行錯誤」の可視化
九段の理系問題では、白紙に自分の考えを書くスペースが広いです。
- 答えが間違っていても、「条件を整理して書き出したプロセス」に部分点がつきます。
- 2026年度に向けては、私立難関校の「一行問題」を早く解く練習に加え、難問に対して「図を書いて実験する」習慣をつけてください。
2. 【作文分野】「至誠」を意識した体験談
九段の校訓である「至誠(誠実さ)」は、教育の根幹です。作文で自分の体験を書く際、単なる成功談だけでなく、「失敗から何を学び、どう改善しようとしたか」という誠実な自己分析を含めると、九段の求める生徒像に合致しやすくなります。
IV. 合否を左右する「報告書(内申点)」の重要性
九段の選抜において、小学校の成績表(報告書)は非常に大きなウェイトを占めます。
- 配点比率: 適性検査(80%):報告書(20%) のバランスが一般的ですが、この「20%」で順位が大きく入れ替わります。
- 対策: 5年生・6年生の全教科(特に実技4教科)で「3(大変よい)」を積み上げることが、当日の精神的余裕に繋がります。
V. 2026年度受検生へのロードマップ
| 時期 | 学習テーマ | アクション |
| 小6 夏休み | 基礎知識の総点検 | 私立向けテキストで算数・理科の基礎を固める。 |
| 9月〜11月 | 適性検査形式への適応 | 「九段の過去問」だけでなく、都立共通問題の演習を開始。 |
| 12月〜1月 | 記述の完成度を高める | 塾の先生や親に、作文と記述を「毎日添削」してもらう。 |
| 2月3日 | 本番 | 九段下の坂道を登り、落ち着いて検査に臨む。 |
VI. 最後に:九段中等教育学校が求める「君」へ
九段は、千代田区という日本の中心地で学び、将来は社会の公器として貢献できる人材を育てようとしています。入試問題は、単なる知識のテストではなく、「君は、世界をどう見ているか?」という問いかけです。
対策の第一歩として、まずは「身近なニュースや統計データを見て、自分の言葉で感想と理由を書く」ことから始めてみてください。

