兵庫県西宮市に位置する関西学院中学部(関学)。ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の美しいスパニッシュ・ミッション様式の校舎、キリスト教主義に基づく「Mastery for Service(奉仕のための練達)」という校訓、そして関西学院大学への高い内部進学率を誇る、関西を代表する伝統校です。
2026年度(令和8年度)入試に向けて、合格を勝ち取るための傾向と対策を徹底的に解説します。関学の入試は、偏差値以上の「独特な出題形式」と「高得点勝負」が特徴です。
I. 入試制度の理解:A日程・B日程の戦略
関西学院中学部の入試は、1月に行われる「A日程」と「B日程」の2回チャンスがあります。
1. 入試データと合格ライン
- A日程(1月土曜): 募集人数が多く、第一志望者のメイン戦場。国・算・理の3教科(各100点)。
- B日程(1月日曜または月曜): 募集人数が少なく、他校(灘、甲陽、六甲など)からの併願組が流入し、難易度が極めて高くなります。国・算の2教科(各100点)。
- 合格最低点: 例年、得点率 65%〜75% 前後。
- 男子校(中学部)であるため、力強く粘り強い思考力が求められます。
II. 【算数】の傾向と対策:関学名物「解答プロセス」の記述
関学の算数は、関西の中学入試の中でも特に「記述」に重きを置いていることで有名です。
1. 傾向分析
- 構成: 大問5〜6題構成。大問1は計算・一行題ですが、大問2以降はほぼすべての問題で「式・図・考え方」を詳しく書くスペースが用意されています。
- 頻出単元:
- 平面・立体図形: 切断、投影図、相似、面積比。
- 速さ: 旅人算、ダイヤグラムの作成と読み取り。
- 数の性質: 規則性、場合の数、条件整理。
- 特徴: 答えが合っていても、プロセスが論理的でないと大幅に減点されます。逆に、答えが違ってもプロセスが正しければ部分点が期待できます。
2. 2026年対策のポイント
- 「白紙」を作らない: 難問でも、分かっている条件を図に書き込んだり、比の関係を式にしたりする姿勢が部分点に繋がります。
- 図形作成の自動化: コンパスを使わず、フリーハンドで正確な立方体や円柱を書く練習をしてください。
- 過去問10年分の徹底: 関学の算数は形式が安定しています。過去問を通じて「関学が求める記述のレベル」を体得しましょう。
III. 【国語】の傾向と対策:長文読解と「漢字」の精度
国語は文章量が2,000〜5,000字程度と幅がありますが、全体として「丁寧な読解」が求められます。
1. 傾向分析
- 構成: 読解2題(物語文・論説文)+知識問題。
- 知識分野: 漢字の書き取りは、同音異義語や熟語の構成など、ややひねったものが出ます。
- 記述: 30字〜80字程度の記述が数問。本文の言葉を適切に使いつつ、自分の言葉で補足する力が試されます。
2. 2026年対策のポイント
- 「心情の因果」を掴む: 物語文では、なぜその人物がそのような行動をとったのか、その背景にある感情を整理する練習をしましょう。
- 知識の完答: 高得点勝負では漢字や語彙での失点は致命的です。『漢字の要』などの教材で、夏までに全範囲を完璧にしましょう。
- 45〜50分の時間配分: 読解に時間をかけられるよう、知識問題を5分以内で処理するスピードを養ってください。
IV. 【理科】の傾向と対策:実験・観察データの分析
A日程のみ実施される理科は、30分〜40分(年度による)の短時間決戦です。
1. 傾向分析
- 傾向: 4分野からバランスよく出題。計算問題(中和、溶解度、電流、てこ)が必ず含まれ、算数と同様に「考え方」を書かせる場合があります。
- 対策: 基本的な用語の暗記はもちろん、グラフから数値を正確に読み取る訓練を。特に「電流の回路図」は複雑なものが出ることもあるため、要注意です。
V. 合否を分ける「面接」と「キリスト教」への理解
関西学院中学部では、筆記試験に加えて「面接(個別またはグループ)」が行われます。
- 目的: 受験生本人の意欲や、家庭の教育方針が関学のキリスト教教育と合致しているかを確認します。
- 対策: 「なぜ関学なのか」「将来どのように社会に貢献したいか」を、自分の言葉で誠実に伝える準備が必要です。
- ワンポイント: キリスト教の知識を問われることはありませんが、学校行事(礼拝など)への理解は必須です。
VI. 2026年度合格へのロードマップ
| 時期 | 学習テーマ | アクション |
| 小6 夏休みまで | 全範囲の基礎固め | 算数の計算精度と図形の基本、理科の重要語句を一巡させる。 |
| 9月〜11月 | 過去問演習と記述訓練 | 算数の記述スペースを埋める練習を本格化。過去問10年分に挑戦。 |
| 12月〜1月 | 弱点補強と面接対策 | 模試のミスを徹底的に分析。面接のシミュレーションを家族と行う。 |
| 入試当日 | 平常心とMastery | 「奉仕のための練達」の精神で、最後まで粘り強くペンを動かす。 |
VII. 最後に:関西学院が求める「真の紳士」へ
関西学院中学部の入試は、単にテストの点数が高い子だけでなく、「自分の考えを論理的に説明し、他者と対話できる子」を求めています。入試問題の記述スペースは、まさにあなたと学校との対話の場です。
合格の先には、甲山を背にした美しいキャンパスで、大学までの一貫教育を享受しながら、一生モノの友人と出会える最高の6年間が待っています。2026年、青空に響く関学のチャイムを笑顔で聞けるよう、今日から一歩ずつ、着実に準備を進めていきましょう。

