広島県立広島中学校(以下、県広)の入学試験について、2026年度(令和8年度)入試を見据えた、圧倒的な情報量と詳細さによる攻略ガイドを解説します。
県広は、広島県内でも屈指の進学実績を誇る公立中高一貫校です。東広島市に位置し、高い志を持つ生徒が集まるため、その入試(適性検査)は「思考の深さ」「多角的な分析力」「高度な論理的記述力」が極めて高いレベルで要求されます。
1. 県広入試の全体像と「2026年動向」
県広の選抜は、適性検査(I・II)、面接、および調査書(内申書)の総合判定で行われます。
1-1. 試験の構成と評価
- 適性検査I(文系領域):45分 / 100点
- 適性検査II(理系領域):45分 / 100点
- 面接:集団面接形式
- 調査書:小学校5年生・6年生の成績が対象
1-2. 2026年度入試の展望
広島県では「15年後をリードする人材の育成」を掲げており、入試問題にもそのメッセージが色濃く反映されています。2026年度は、これまでの「パターン学習」では太刀打ちできない、「初見のデータから仮説を立て、それを検証するプロセスを説明させる問題」がさらに強化される見込みです。
2. 【適性検査I】言語能力と社会認識(文系領域)
適性検査Iは、国語的読解力と社会科的な資料分析力を融合させた、総合的な表現力を問う内容です。
2-1. 出題傾向:対話文と膨大な記述量
- 対話文の重視:複数の登場人物(生徒や先生)が議論する中で、意見の対立点や共通点を見つけ出す能力が問われます。
- 資料のクロス分析:単一のグラフではなく、複数の異なる統計(例:人口動態、輸出額、エネルギー構成など)を組み合わせて、社会課題の本質を突く回答が求められます。
- 条件付き記述:200字〜300字程度の長文記述があり、「特定の語句を使用する」「資料中の数値を引用する」といった厳しい制約の中で論理を展開する力が必要です。
2-2. 具体的対策
- 「要約・換言」の徹底トレーニング: 本文の内容をそのまま抜き出すのではなく、「つまりAはBを意味している」と自分の言葉で言い換える練習を繰り返してください。
- 社会課題への「なぜ?」を深掘りする: 日頃からニュース(SDGs、地域活性化、デジタル化)に触れ、「なぜこの課題が生じているのか」「解決にはどのようなトレードオフ(利点と欠点)があるか」を考える習慣をつけましょう。
- 記述の「骨組み」を作る力: いきなり書き始めるのではなく、「主張(結論)→理由(根拠)→具体例→まとめ」の構成メモを2分で作る訓練を積んでください。
3. 【適性検査II】論理的思考と数的処理(理系領域)
適性検査IIは、算数と理科の知識をベースに、情報の整理や数的な推理を行う、パズル的・実験的な問題です。
3-1. 出題傾向:条件整理と「理科的思考」
- 複雑なルール設定:独自のゲームルールや、プログラミング的な命令規則をその場で理解し、正しい手順を導き出す問題が頻出です。
- 理科の実験データ解析:教科書通りの結果ではなく、予想外の実験データが提示され、「なぜこの結果になったのか」という原因を推測させます。
- 図形の空間把握:展開図、回転体、投影図など、3D的な感覚を必要とする問題が好まれます。
3-2. 具体的対策
- 「対照実験」の考え方を完璧にする: 「何かを調べるとき、変える条件は一つだけにする」という理科の鉄則(変数の制御)を、記述で正確に説明できるようにしましょう。
- 割合・比・速さのマスター: 計算問題そのものは出ませんが、資料から数値を比較する際に「比」や「割合」の感覚が欠かせません。中学受験算数の基礎を盤石にしてください。
- 試行錯誤のプロセスをメモする: 県広の理系問題は、一発で答えが出ることは稀です。図や表を書いて「あ、これだとダメだ」「次はこうしてみよう」と粘り強く検証する姿勢を、答案の余白にも残すつもりで演習してください。
4. 【面接・調査書】県広が求める「未来のリーダー」
県広は進学校としての側面と、豊かな人間性を育む全人教育の両面を重視しています。
4-1. 集団面接のポイント
集団面接では、以下のようなポイントが評価されます。
- 他者の意見を尊重する態度:自分が話すだけでなく、他人の発言をしっかり聞き、それを受けて自分の考えを深めることができるか。
- 自己認識と志(こころざし):自分の強みと弱みを理解し、県広で学びたいという強い意志を、自分の言葉(エピソード)で伝えられるか。
4-2. 調査書(内申点)の戦略
5・6年生の全教科が対象です。公立中高一貫校は「すべての教科において前向きに取り組む姿勢」を評価します。副教科(音楽、図工、体育、家庭)での積極的な参加姿勢も、合否を分ける1点に繋がります。
5. 合格への「戦略的ロードマップ」
- 小5〜小6夏:基礎の「完全自動化」と「習慣化」
- 漢字、計算、語彙力を盤石にし、読解のスピードを上げる。
- 算数ではパズル系の問題集(「きらめき算数脳」など)で、思考の柔軟性を養う。
- 小6秋:適性検査の「型」と「時間配分」の構築
- 県広の過去問だけでなく、他県(都立、京都、岡山など)の良質な適性検査問題を解き、資料読み取りのクセを掴む。
- 45分という短い時間の中で、どの問題を確実に仕留めるかという「捨て問」の判断力を養う。
- 直前期:記述の「磨き上げ」と「メンタルケア」
- 記述問題は必ず塾の先生や家族に添削してもらい、「採点者に伝わる論理的な文章」へと洗練させる。
6. まとめ:県広を目指す受験生と保護者へ
県広の入試は、一夜漬けのテクニックでは絶対に突破できません。しかし、日頃から「なぜ?」「本当にそうかな?」「こうすればもっと良くなるのではないか?」という探究心を持っている生徒にとって、これほど「解きがいのある面白い試験」はありません。
2026年度入試に向けて、情報の海の中から正しい宝物(答え)を見つけ出す力を、今から少しずつ育てていきましょう。そのプロセスそのものが、中学校入学後の大きな財産となります。

