学習院中等科の入学試験について、その傾向と対策を解説します。
学習院中等科は、長い伝統と格式を誇る一方で、入試問題は非常に「誠実」です。奇をてらった難問よりも、「基礎を深く理解し、それを自分の言葉や式で説明できるか」を問う良問が揃っています。合格への鍵は、高い正答率を維持する「正確性」と、思考プロセスを明示する「記述力」の2点に集約されます。
1. 入試の全体像と合格ライン
学習院中等科の入試は、例年2月1日(第1回)と2月3日(第2回)の2回実施されます。
- 算数・国語:各100点 / 50分
- 理科・社会:各80点 / 40分(合計360点満点)
合格最低点は例年6割強〜7割弱。第2回の方が難易度・倍率ともに跳ね上がる傾向にあり、第1回で確実に合格を勝ち取ることが理想的な戦略となります。
2. 【算数】「プロセス重視」の記述型試験
算数は、学習院入試の中で最も特徴的な教科です。
2-1. 出題構成と「途中式」の重み
- 大問1〜2:計算・一行問題(全問正解が必須)。
- 大問3以降:応用問題。ここから「途中式・考え方」の記述が求められます。
学習院は公式発表で「答えのみは大幅減点」としています。たとえ答えが間違っていても、論理的なプロセスが正しければ部分点が得られます。逆に、計算ミス一つで10点近く失うリスクを、途中式を書くことで回避する戦略が求められます。
2-2. 頻出単元の攻略
- 速さとグラフ: 旅人算や、水槽に水を入れる問題など、状況をダイヤグラムで読み取る能力が必須です。
- 図形(平面・立体): 相似比・面積比を利用した平面図形や、回転体の体積・表面積が頻出です。特に「図形の移動」に伴う作図問題が出ることもあるため、定規を使わずとも正確な図を描く練習が必要です。
- 割合と比: 食塩水の濃度や商売の問題など、比を自在に操る力が試されます。
3. 【国語】「高度な文章把握」と「心情の言語化」
国語は、文章の質が高く、精神的な成熟度が問われる内容です。
3-1. 出題構成
- 読解問題2題:物語文、論説・説明文。
- 知識問題:漢字の書き取り(10〜15問程度)。
3-2. 記述問題のバリエーション
15字程度の短文記述から、70字前後の要旨記述まで、記述の割合が非常に高いのが特徴です。
- 物語文:登場人物の「揺れ動く心情」を、本文の言葉を使いながら整理して書く必要があります。
- 論説文:筆者の主張(要旨)を的確にまとめる力が求められます。
- 対策:本文を読みながら、重要な箇所に線を引き、段落ごとの「意味内容」をメモする習慣をつけましょう。
4. 【社会】「基礎知識の徹底」と「資料活用」
社会は40分という短い時間で、地理・歴史・公民の3分野をバランス良く解くスピード感が求められます。
4-1. 各分野の特徴
- 地理:日本地理が中心。地図や統計資料の読み取りが必ず出題されます。生産量の順位だけでなく、「なぜその地域で盛んなのか」という背景(気候・地形)をセットで覚えましょう。
- 歴史:全時代から満遍なく出題されますが、近現代の比重が高めです。「歴史的事象の因果関係」を問う記述問題が頻出です。
- 公民:日本国憲法と政治の仕組みが中心です。
4-2. 学習院らしい「実戦的」な問題
「特定の駅を中心とした周辺地理」など、実生活に即したユニークな視点の問題が出ることがあります。日頃からニュースや地図帳に親しみ、多角的な視点を持つことが有効です。
5. 【理科】「実験観察」と「科学的思考力」
理科は、教科書の知識をベースにしながらも、初見の実験データを解析させる応用力が問われます。
5-1. 四分野の頻出ポイント
- 物理:電流、力のつり合い(てこ・滑車)。比を用いた計算問題の精度が合否を分けます。
- 化学:水溶液の性質、中和、ものの溶け方。
- 生物:植物の観察、人体、食物連鎖。
- 地学:天体(月・星の動き)、地層、気象。
5-2. 記述・計算への対応
「実験の結果からどのようなことが予想されるか」といった推論の記述や、複雑な数値計算が出るため、過去問を通じて「リード文のヒントを素早く見つける練習」を積んでください。
6. 合格のための「学習ロードマップ」
- 夏休みまで:基礎の「完全自動化」 算数の一行問題、漢字、社会・理科の用語を「即答」できるまで固めます。
- 秋以降:記述の「型」作り 算数は「他人に説明するつもりで」式を書く。国語は「問いに対する答え」を過不足なく書く添削指導を積極的に受けましょう。
- 直前期:時間配分と正確性の極致 学習院の問題は「取れる問題を落とさない」ことが最優先です。難しい1問に時間を奪われず、全体を見渡す冷静さを養ってください。

